デザイン経営とは?中小企業に必要な理由と実践方法を解説【診断テスト付き】

「デザイン経営」という言葉を知っていますか?
ニュースで聞いたりビジネス誌で目にした方もいるかもしれません。
デザイン経営とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用し、企業の競争力を高める経営手法のことです。
ここで大切にしたいのは、「デザイン = 色や形を整えること」だけではない、ということです。
一見「おしゃれな言葉」に聞こえるかもしれませんが、実は特許庁(経済産業省)が「日本の企業がこれからもしっかりと力を発揮していくための大切な戦略」として発表した、とても実用的な経営戦略なのです。
日々、技術開発や現場の改善に一生懸命取り組んでいらっしゃる中小企業の経営者の皆様にとって、これはきっと、今抱えている課題を解決する力強い「ツール」になってくれるのではないでしょうか。
今回は、そんな「デザイン経営」について、一つひとつ、わかりやすくお話ししていきます。
読み終わる頃には、皆様の会社の未来の「可能性」が、きっと見えてくるはずです。
目次
1. 「デザイン経営」とは? その本質を解説
まずは、「デザイン経営」という言葉について、もう少し詳しく見ていきましょう。
この言葉を理解するためには、特許庁が示している「デザイン経営」の「定義」と、「2つの大切な役割」を知ることから始めるのがおすすめです。
1.1 特許庁が定義する「デザイン経営」
2018年、特許庁と経済産業省が共同で『「デザイン経営」宣言』を発表しました。
これは、国が公式に「これからの日本の企業が成長するためには、デザインの力が不可欠だ」と認めた、非常に画期的な出来事でした。
この宣言の中で、特に注目すべき点は次の定義です。
「デザインは重要な経営資源である」
これはどういうことでしょうか?
経営者の皆さんにとっておなじみの「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源と並んで、「デザイン」も同様に重要だと国が断言したのです。
ここで特許庁が言っている「デザイン」とは、単に色や形を整える狭い意味でのデザインではありません。もっと広く、本質的な意味を指しています。それは、「常に『お客様(ユーザー)』の視点に立ち、事業のすべてを考え抜く姿勢」のことです。
- お客様が本当に使いやすいと感じる商品になっているか?
- お客様が心地よいと感じるサービス体験を提供できているか?
- お客様に対する接客の仕方は誠実か?
これらすべてが「デザイン」の対象になります。
つまり、特許庁が定義するデザイン経営の本質とは、「徹底的な顧客視点を経営の中心(ど真ん中)に据えて、事業全体を設計し直すアプローチ」と言い換えることができるのではないでしょうか。
1.2 特許庁が定義する「2つの役割」
特許庁が発表した『「デザイン経営」宣言』では、デザインには大きく2つの役割があると定義されています。
1.ブランド構築力
「この会社なら間違いない」という信頼や愛着を育てる力。
(例:一貫したメッセージ、使いやすいサービス、誠実な接客など)
2.イノベーション創出力
顧客の潜在的なニーズを発見し、新しい価値を生み出す力。
(例:技術をユーザー視点で翻訳した新商品、使い手のことを考え抜いた仕様など)
「デザイン経営」というのは、「ブランド」と「イノベーション」という2つの大きな力を一緒に動かして、あなたの会社を強くしていくことなのです。

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2.なぜ今、国が「デザイン経営」を勧めるのか
「古くから続いている事業なのだから、今さら必要ないよ」 そう思われる方もいるかもしれません。 しかし、国がここまで力を入れるのは、日本の中小企業に「もったいない現状」があるからです。
2.1 技術はあるのに、届いていない
日本の多くの中小企業には、世界に誇れる素晴らしい「技術力(ものづくりへの力)」が息づいています。
ただ、残念ながら日々忙しい中小企業が「その価値を、必要としている人にきちんと伝える力(届ける力)」にリソースを避けるわけではありません。
せっかく心を込めて良いものを作っても、その価値が伝わらなければ、お客様には「他とあまり変わらないもの」に見えてしまうかもしれません。
その結果、「もう少し安くならないかな?」と値引きを求められたり、他社との比較で選ばれなかったりすることも。これは決して、皆さんの技術が劣っているからではありません。「デザイン(伝えるための工夫)」が不足しているために、本当に届けたい価値が、まだ相手に届いていないだけなのかもしれないのです。
2.2 現代の「コンパス」として
特許庁は、技術の進化が早い現代だからこそ、デザイン経営は企業が目指す方向を見失わないための「コンパス(羅針盤)」になると教えてくれています。
「良いモノを作れば売れる」という時代は、もう終わりを迎えました。これからは、「良いモノを作る」ことに加えて、「それが誰のためのものなのかを明確にし(デザインし)、愛される形で届ける」ことまでが、経営者として大切な役割になるのではないでしょうか。
2.3 特許庁が推奨する「デザイン経営」について
下記に詳細な内容が示されていますが、
特許庁はデザイン経営を推進しています | 経済産業省 特許庁
この中には企業の取組みの現状を把握し、未来に向けた取組みを一緒に考えていくためのツール「デザイン経営コンパス」があります。
これは、あなたの会社が、「デザイン経営」の観点から今どの段階にいるのか、そして「どんなこと(WHAT)」に取り組んでいくと良いのかを、一緒に明確にしていくための診断ツールです。
具体的には、企業の成長に不可欠な「3つの大きな柱」と、それに紐づく「9つの中項目」で構成されています。
下記が3つの柱です。
- 人格形成=なぜ私たちは存在するのか:企業の存在意義や方向性を明確にする
- 価値の創造=どんな喜びを届けるのか:顧客にとって魅力的な価値を提供する
- 企業文化の醸成=みんなでどう進んでいくのか:社員が一体感を持って働ける環境をつくる

更に、この3つの柱にそれぞれ3項目、合計9項目について自己評価を行うことで、きっと自社の強みと課題が明確になり、具体的なアクションプランを立てるための大切な指針となるでしょう。ぜひ、取り組んでみてください。
この記事ではその前に、以下の「御社の30秒健康診断」をまずはお試しください。
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3.【30秒で診断】御社は「もったいない型」ではありませんか?
では、御社の現状はどうでしょうか?
ここで、簡単な「会社の健康診断」をしてみましょう。以下の3つの質問に、直感で「YES」か「NO」で答えてみてください。
3.1 3つの質問
Q1. 自社の商品や技術力には、正直自信がある。
Q2. 商品には自信があるのに、思ったより利益率が低い、または頻繁に値引きを要求される。
Q3. 「御社の魅力(強み)を一言で教えて」と聞かれた時、社員によって答えがバラバラだ。
いかがでしたか?診断結果は以下のとおりです。
| タイプ名 | Q1 技術・商品への自信 |
Q2 値引要求 |
Q3 社内の声バラバラ |
診断・処方箋 |
|---|---|---|---|---|
| A: もったいない型 |
YES | YES | YES | 実力はあるのに伝わっていない一番惜しい状態。「見せ方」と「伝え方」を整えるだけで大きく飛躍します。デザイン経営が最も効くタイプです。 |
| B: 職人気質型 |
YES | YES | NO | モノは良く結束も固いが、発信力が不足しています。内側の熱量を正しく翻訳して外へ伝えれば、適正価格で売れるようになります。 |
| C: 個人プレー型 |
YES | NO | YES | 売れているのは「個人の力」頼みかもしれません。組織としての旗印(ブランド)が弱く、人が代わると脆い状態です。言語化(CI)が必要です。 |
| D: 迷子・模索型 |
NO | - | - | まずは「強み」や「進むべき道」の発見から取り組みましょう。デザイン経営は見た目だけでなく、「私たちは何者か」を掘り下げる羅針盤になります。 |
| E: 実践企業 |
YES | NO | NO | 素晴らしい状態です!既にデザイン経営を実践できています。今のブランドを維持・進化させるため、定期的なメンテナンスを行いましょう。 |
3.2 診断結果:「もったいない型」のあなたへ
もし、この3つすべてに「YES」と答えた経営者様。 ズバリ申し上げます。御社は「もったいない型」です。でも、安心してください。これはある意味、最高の褒め言葉でもあります。
なぜなら、Q1で「技術や商品に自信がある」と答えられているからです。中身(土台)は素晴らしいのです。 ただ、Q3にあるように「魅力の伝え方」が整理されておらず、その結果としてQ2の「安売り」に甘んじているだけなのです。
これは非常にもったいない状態ですが、裏を返せば、「伝え方(デザイン)」を工夫するだけで、大きく飛躍できる可能性を秘めているということです。
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4. デザイン経営がくれる「2つのプレゼント」
特許庁が推奨するように、デザイン経営を取り入れて、「もったいない型」を脱却することで、大きく分けて2つのプレゼントが手に入ります。
4.1 お客様からの「信頼(ブランド構築)」
1つ目は、お客様との強い絆です。
自社の「個性」をしっかりとお伝えすると、「価格だけを重視する」というお客様ではなく、「あなたの会社の商品だからこそ選びたい」というファンの方々との繋がりが深まります。ファンになってくださる方が増えれば、無理な値下げ競争に巻き込まれることなく、安心して事業を続けることができるでしょう。
4.2 未来への「ワクワク(イノベーション)」
2つ目は、会社に新しい価値を生み出すワクワクする力が生まれることです。
デザイン経営は、「私たちのお客様は、本当に何を求めているんだろう?」と、お客様の視点に立ってじっくり考えるところから始まります。そうすると、今まで見過ごしていた新しい可能性(イノベーションの種)が、ふっと見えてくることがあります。
たとえば、
- 「この技術、実はこんなところで役に立てるんじゃないか?」
- 「お客様が求めていたのは、商品そのものじゃなくて、その先にある安心感だったんだ!」
といった、心動かされる発見があるかもしれません。
こうした気づきこそが、会社を現状維持から一歩前へと、未来に向かって進化させる大きな原動力になるはずです。
その原動力の源が「デザイン経営」なのです。
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5. 小さな一歩から始めましょう
「デザイン経営」と聞くと、莫大な予算をかけて有名なデザイナーや専門の顧問などを雇うことだと誤解されがちですが、決してそうではありません。まずは、経営者の皆様が、御社独自の「らしさ」とは何だろう?と、じっくり向き合っていただくことが大切です。
そして、その「らしさ」を、社員の方々や大切なお客様にきちんと伝わるように、言葉や形に落とし込んでいく。
これが、すべての始まりであり、会社を強くする大きな一歩となります。
実際に、すぐにでも始められる工夫をいくつかご紹介していきます。
5.1 すぐに出来る取組み:顧客接点のデザイン
莫大な予算をかけるのではなく、お客様が最初に接する「接点」を選び、そこに「御社らしさ」が明確に伝わるようにデザインの力を集中させます。
ホームページのトップページ
トップページのファーストビュー(一番最初に表示される画面)に、最も自信のある商品・サービスを配置し、一瞬で「何をしている会社か」を伝える。
製品パッケージ/チラシ
商品の機能説明だけでなく、「お客様の悩みを解決する物語」を軸にしたキャッチコピーを添える。
見積書・請求書
事務的な書類にも会社のロゴやブランドカラーを統一して使用し、「誠実さ」を静かに伝える。
これらの「小さな一歩」は、すべて特許庁が示す「デザイン経営コンパス」の3つの柱(人格形成、価値の創造、企業文化の醸成)に直結しています。大きな投資をせずとも、意識と行動を変えるだけで、御社の「もったいない」は必ず「輝き」に変わります。
5.2 「もったいない」を「輝き」に変える
私たちカズミアは、神奈川県を中心に、多くの中小企業様のホームページ制作・デザイン、ブランディングを支援してきました。私たちの仕事は、単にかっこいいホームページを作ることではありません。経営者様の頭の中にある「熱い想い」や、「確かな技術」を一番輝く形で見える化(デザイン)することです。
今回の診断で「もったいない型」だと感じた経営者様。 それは、御社にはまだ見ぬ「宝物」が埋まっているという証拠です。その宝物を、一緒に掘り起こしてみませんか?
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