CI(コーポレート・アイデンティティ)とは?企業ブランドを強化する戦略

これまで第1回では「デザイン経営」、第2回では「ブランディングの全体像」、そして第3回では「ブランディングの成功事例」についてお伝えしてきました。
第4回目となる今回は、ブランドを形作るための最も大切な土台であり、会社の「自己定義の設計図」となるCI(コーポレート・アイデンティティ)について、さらに深掘りしていきます。
目次
1. CI(コーポレート・アイデンティティ)とは?
CI(コーポレート・アイデンティティ)とは、「私たちは何者か」を明確にし、それを社内外に発信する枠組み(器)であり、企業の存在意義、考え方、独自性を、行動とビジュアルの両面から伝える一連の概念です。
1.1 なぜ今、中小企業にCIが必要なのか
なぜCIが必要なのでしょうか?
理由は、お客様の心に「信頼」を届けるためです。
今、世の中には本当に素晴らしい商品やサービスがあふれています。だからこそ、「機能や価格」だけで選んでもらうのは、正直、とても難しい時代になりました。私たちが目指すのは、「〇〇のことなら、迷わずあの会社に相談したい」と、お客様が真っ先に思い出してくださる、そんな「一番の存在」になること。そのためには、会社の「らしさ」を深く掘り下げ、定義するCIが、今、中小企業の皆様にとって欠かせない力となります。
1.2 CIを構成する「3つの柱」
CIは、ロゴマークのことだけではありません。以下の3つの要素が組み合わさってできています。
- MI(マインド・アイデンティティ):心のありかた。会社の「理念」や「想い」です。
- BI(ビヘイビア・アイデンティティ):態度の示しかた。日々の「行動」や「ルール」です。
- VI(ビジュアル・アイデンティティ):見た目の整えかた。ロゴや色などの「視覚的な印象」です。
MI・BI・VIを通して、CIを伝えていくことで、お客様は「この企業は信頼できる」と確信し、結果として他社との差別化につながります。以下にそれぞれについて、解説いたします。

2. MI(マインド・アイデンティティ):すべての根っこになる「想い」
では、CIを構成する最初の要素であるMIについて深掘りしていきましょう。
MI(マインド・アイデンティティ)とは、CIの中で最も重要な「心」の部分です。
「なぜこの会社が存在するのか」という創業の動機や、経営者が大切に抱いている熱意(Why)を言葉にしたものです。
2.1 AIには真似できない、人間味あふれる「Why」
今の時代、AIを使えば「それなりに綺麗な文章」はすぐに作れます 。 しかし、AIには決して語れないものがあります。それは、経営者の皆様が現場で流した汗や、先代から受け継いだ技術、地域への熱い想いといった「泥臭い人間味」です。
- 「先代から受け継いだ技術を、何としても守り育てたい」
- 「この生まれ育った地域の産業を、もっともっと盛り上げたい」
- 「あの時感じた不便さや課題を、自分の手で解決したい」
こうした独自のストーリー(Why)こそが、他社には真似できない強力なブランドの核となり、お客様の深い共感を呼びます。
2.2 創業の想い(MI)を掘り起こす「心のコンパス」ワークシート
簡単なワークシートを用意しました。
自分の想いを言葉にするのは、なんだか照れくさいと感じられるかもしれません。しかし、経営者の皆様の胸の奥にあるその「想い」こそが、世界に一つだけのブランドの原石だと思います。
ぜひリラックスした気持ちで、今のあなたの「本音」を書き留めてみてください。
【心のコンパス ワークシート】
STEP1:あの時の「熱」を思い出す
Q1. 創業(または就任)したばかりの頃、一番「何とかしたい!」と思っていたことは何ですか?
(例:あのお客様の不便を解消したかった、地域の伝統を絶やしたくなかった、など)
Q2. 当時、一番嬉しかった瞬間や、今でも忘れられない「お客様からの言葉」は何ですか?
STEP2:自分たちの「誇り」を再定義する
Q3. 他社が「そこまでやらなくてもいいのに」と言うような、手間暇かけていることはありませんか?
(例:見えない部分の研磨、誠実な問い合わせ対応、徹底した清掃など )
Q4. なぜ、あえてその「手間」をかけているのでしょうか?その先にいるお客様に、どうなってほしいですか?
STEP3:未来への「約束」を言葉にする
Q5. 5年後、10年後、あなたの会社は地域や社会にとって「どんな存在」でありたいですか?
Q6. 上記を踏まえて、今の想いを一言で表すと?
(※『私たちは、〇〇を通して、△△を実現する会社です。』といった等身大の言葉で構いません)
3. BI(ビヘイビア・アイデンティティ):想いを「行動」に移す
MIで「心」が決まったら、次はそれを「態度、行動」に翻訳します。これがBI(ビヘイビア・アイデンティティ)です。
BIとは「自分たちの理念に基づいた、日々の振る舞いや仕事の進め方のルール」のことです。
3.1 「この会社らしい振る舞い」を具体化する
「誠実な対応をします」と掲げるだけでは、人によって解釈がバラバラになってしまいます。そこで、具体的なルールを決めます。
- 「お客様にはこう接しよう」という接客のルール
- 「仕事はこう進めよう」という業務のルール
こうした小さな行動の積み重ねが、お客様に「この会社は期待を裏切らない」という安心感を与え、信頼へとつながります。
3.2 社員全員で「ブランド」を体現する
BIは、経営者一人だけが頑張っても成立しません。
全社員が「今の行動は”我が社の価値観(バリュー)に沿っていたね!」と褒め合ったりすることで、少しずつ「当たり前の感覚」にしていきます。理念(Mind)を日々の行動(Behavior)で丁寧に示し続けることで、お客様との強固な信頼関係を育む土台ができるのです。
4. VI(ビジュアル・アイデンティティ):一目でわかる「顔」を作る
最後は「見た目」です。これがVI(ビジュアル・アイデンティティ)です。
VIとは「会社の想いや行動を、ロゴや色、デザインといった視覚的な情報で表現すること」です。
「なんとなく」のデザインをやめる
ロゴは単なる「かっこいい飾り」ではありません。MI(想い)とBI(行動)を瞬時に伝え、一目で「あ、あの会社だ!」とわかる目印です。会社のロゴ、イメージカラー、名刺のデザインなどを統一し、どこで接触しても「同じ印象」をお客様に与えることが、信頼につながります。
5. なぜCIが必要か:手に入る「見えない資産」
CIを整えることは、単におしゃれにすることではなく、会社を強くするための「投資」です。CIが確立されると、以下のような素晴らしい変化(見えない資産)が手に入ります。
- 利益率の向上:価値が正しく伝わることで、安易な値引き交渉から脱却し、適正価格で取引が成立します。
- 社員のモチベーション:社会に認められている会社で働いているという誇りが、働く意欲につながります。
- 採用への効果:会社の理念や姿勢に共感する、質の高い方々との出会いを引き寄せます。
CIによって「想い(MI)」を「行動(BI)と見た目(VI)」で示し続ける。その積み重ねが、「この会社なら信頼できる」というブランドになっていくのです。
6. まとめ:CIは「磨き続ける」もの
今回の内容を振り返ってみましょう。
- CIは、「どんな想いを大切にしているか(MI)」「どう行動で示すか(BI)」「どう見せるか(VI)」、これらがブレずに繋がっていることです。
- MI(心)は、AIには真似できない、あなたの会社ならではの「熱い想い(Why)」から生まれます。
- MI(心)と、BI(行動)やVI(見た目)が一致していると、お客様との間に揺るぎない信頼が築けます。
- CIをしっかり整えることは、価格競争に巻き込まれることなく、会社を強く支える「大切な資産」になるはずです。
CIは、一度作ったら「これで完成」というものではありません。世の中の動きや会社の成長に合わせて、少しずつでも良いので、一緒にアップデートして、ずっと大切に磨き続けていきましょう。あなたの会社だけの「らしさ(印)」を一緒に見つけませんか?
もし今、「うちには良い技術やサービスがあるのに、その魅力がなかなかお客様に伝わらないな…」と感じていらっしゃるなら、それはCIを見直し、「ブランディング」を取り入れるのに最高のタイミングかもしれません。
私たちカズミアは、経営者様が心の中で温めている「熱い想い」を、お客様の心に響く、力強い言葉や素敵なデザインへと形にするお手伝いをさせていただくパートナーです。
ぜひ、お話をお聞かせください。
御社の「らしさ」を、一緒に見つけ、磨き上げていきましょう。
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「CI作成を実践したいけれど、自社にどのように落とし込めばいいかわからない・・・」そんなお悩みをお持ちの経営者さまはぜひ、私たちカズミアにご相談ください。カズミアは、神奈川の地域密着企業として、御社の「らしさ」を一緒に発掘する伴走パートナーです。デザインを軸として経営を続けてきたからこその視点で、貴社に最適なサポートをさせていただきます。初回相談は無料です。ぜひお気軽にご相談ください。
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