採用サイトは「企業文化の語り部」中小企業こそ作るべき理由と作成ステップ

中小企業のための「成功する採用マーケティング」として複数回にわたり記事をお届けします。
2回めは、「採用サイト」こそが自社の言葉で、自社の想いを、自由に表現できる最高の武器になること、そして「中小企業が「採用サイト」をつくるべき理由と作成ステップをお伝えします。
はじめに:会社”らしさ”が伝わる採用サイトこそ、中小企業の最強の武器になる。
「いい人がなかなか来てくれない」「せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう」。多くの中小企業の経営者や採用担当者の方が、こうした悩みを抱えています。その根本的な原因は、会社の本当の魅力、つまり「企業文化」が求職者に伝わりきっていないことにあります。
給与や待遇といった条件面だけでは、会社の個性や働くことの”本当の価値”は伝わりません。求職者が本当に知りたいのは、「どんな人たちが、どんな想いをもって働いているのか」「自分はここでイキイキと成長できるのか」といった、血の通った情報です。その最高の「語り部」となるのが、自社の言葉で、自社の想いを、自由に表現できる「採用サイト」です。
完成された採用サイトは、単なる求人情報の掲示板ではなく、24時間365日、会社の魅力を未来の仲間に熱心に伝え続ける、最も忠実で優秀な採用担当者になります。
目次
1.なぜ、今多くの中小企業が「採用サイト」に力を入れ始めているのか?
「うちは大手じゃないし、採用にお金はかけられない」「求人サイトに出稿すれば十分だろう」。そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、採用市場は大きく変化し、従来のやり方だけでは通用しなくなりつつあります。
求人媒体だけでは越えられない「3つの壁」
多くの企業が利用する求人情報サイトは、手軽に応募者を集められる一方で、中小企業にとっては不利な側面もあります。
- 情報の壁: 決まったフォーマットにしか情報を掲載できず、自社の個性や細やかな魅力を伝えきれません。結果として、給与や休日などの「条件」でしか比較されず、待遇面のみの競争に巻き込まれてしまいます。
- 埋没の壁: 何百、何千という企業情報の中に埋もれてしまい、求職者の目に留まることすら難しくなります。多額の広告費を払える大手企業が有利になる構造です。
- 信頼の壁: 7割以上の求職者が、求人サイトで見つけた企業を、必ずその企業の公式サイトや採用サイトで確認するというデータがあります。情報が画一的な求人サイトだけでは、自社の採用サイトを用意しておかなければ「この会社、本当に大丈夫かな?」という求職者の不安を払拭できないのです。
「給料や条件だけじゃない」求職者の本音
今の求職者、特に若い世代は、仕事選びの軸として「企業文化との一致」や「働きがい」「自己成長」を非常に重視しています。彼らは、企業のSNSをチェックし、社員の口コミを読み、そして採用サイトを隅々まで見て、「自分がこの会社で働く姿」を想像しようとします。
彼らが求めているのは、美辞麗句が並んだ雑誌のような情報ではありません。そこで働く人たちの「生の声」や、会社の「ありのままの姿」なのです。その本音に応える場所として、採用サイトの重要性が高まっています。

求人情報サイトと採用サイトの違い
2.採用サイトは「最高の語り部」!企業文化を伝える3つのメリット
では、具体的に採用サイトを持つことで、どのような良いことがあるのでしょうか。ここでは、企業文化を伝えることで得られる3つの大きなメリットをご紹介します。
メリット1:入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ
採用で最も避けたいのが、入社後のミスマッチです。時間とコストをかけて採用した人材がすぐに辞めてしまうのは、企業にとっても本人にとっても大きな損失です。
採用サイトで、仕事のやりがいや面白さだけでなく、大変なことや泥臭い部分も正直に伝える。社員インタビューで、日々の仕事の流れや職場のリアルな雰囲気を語ってもらう。そうすることで、求職者は入社後の働き方を具体的にイメージでき、「覚悟」をもって入社してくれます。これは、定着率を劇的に改善する上で非常に効果的です。
メリット2:会社のファンになった「熱量の高い人」が集まる
採用サイトは、いわば会社の「ファン」を作るためのメディアです。社長の創業ストーリーや事業にかける想い、社員一人ひとりの仕事への情熱などを丁寧に伝えることで、それに共感する人が集まってきます。
条件だけで選んだのではなく、「この会社が好きだから」「この人たちと働きたいから」という強い動機で応募してくれた人材は、入社後の成長意欲も高く、困難なことがあっても簡単には諦めません。彼らは、やがて会社の未来を担う中核人材へと育っていく可能性を秘めています。
メリット3:24時間365日、会社の魅力を伝え続ける採用担当マンになる
一度しっかりと作り込めば、採用サイトはあなたに代わって24時間365日、休むことなく会社の魅力を伝え続けてくれます。「〇〇市 営業職 求人」といった検索キーワードから、これまで接点のなかった意欲的な求職者がサイトを訪れてくれることもあります。
求人媒体への掲載が終わっても、サイトは資産として残り続けます。ブログ機能などで会社の日常を発信し続ければ、コンテンツはどんどん充実し、さらに多くの人を惹きつける力を持つようになります。これは、広告費に頼り続ける採用活動からの脱却を意味し、長期的なコスト削減にも繋がります。

採用サイトのメリット
3.どうやって採用サイトで文化を伝えたのか? 成功事例
事例1(食品:「日本一かっこいい八百屋」をコンセプトに
株式会社八百鮮では、「八百屋」のイメージを覆す、まるで映画の予告編のようなスタイリッシュな動画を採用サイトのトップに掲載。社員がイキイキと働く姿や仕事への誇りを伝えることで、「面白そう!」「ここで働いてみたい!」という若者の心を掴み、多くの新卒採用に成功しています。

出典:株式会社八百鮮採用サイト(八百鮮 採用サイト – 「八百屋を、日本一かっこよく。」をビジョンに)
事例2(葬祭業):一般的な「厳粛で堅いイメージ」打破し採用を増やす
株式会社アスカフューネラルサプライが属する葬祭業が一般的に持たれてしまうイメージを打破し、「堅いイメージを感じさせないデザイン」や「活き活きと働くとは何か?」という動画を上手く活用し、独自の魅力を伝えるという明確な戦略を打ち出しています。求職者が「共感・安心・信頼」を得られる場を採用サイトとして提供しています。

4.明日から始められる!採用サイト作成の5ステップ
「重要性は分かったけれど、何から手をつければいいのか…」。ご安心ください。と悩む方も多いと思います。
想いを伝える採用サイトは、以下の5つのステップで作成していきましょう。

採用サイト作成のステップ
ステップ1:「誰に」「何を」伝えるか、目的を明確にする
まず最初に、そして最も重要なのが「誰に(ターゲット)」、「何を(一番の魅力)」を伝えるかを決めることです。
ターゲット: どんな経験やスキル、価値観を持った人に来てほしいですか?年齢や性格まで、一人の人物像(ペルソナ)として具体的に描いてみましょう。
一番の魅力: 給与や休日以外で、自社が誇れることは何ですか?「風通しの良い社風」「若手でも挑戦できる環境」「地域社会への貢献」など、他社にはない”らしさ”を言葉にしてみましょう。
ここがブレてしまうと、誰の心にも響かないサイトになってしまいます。
ステップ2:会社の魅力を洗い出す(コンテンツ企画)
ステップ1で決めたターゲットに魅力を伝えるために、どんな情報(コンテンツ)が必要かを考えます。求職者が知りたい情報を網羅することが大切です。
必須コンテンツ: 経営者のメッセージ、社員インタビュー、具体的な仕事内容、1日のスケジュール、研修制度、福利厚生、募集要項など。
差がつくコンテンツ: プロジェクトの裏話、失敗談、社内イベントの様子、オフィスの写真ツアー、ユニークな社内制度の紹介など。
社員を巻き込んで、「うちの会社の良いところって何だろう?」と話し合ってみるのも良い方法です。
ステップ3:想いをカタチにする(サイト設計・デザイン)
集めた情報を、どう見せれば魅力的に伝わるかを考えます。求職者が知りたい情報にすぐたどり着けるような、分かりやすい構成が重要です。デザインは、会社の雰囲気に合わせましょう。例えば、誠実さを伝えたいなら青を基調に、活気ある雰囲気を伝えたいならオレンジや黄色を使うなど、色が与える印象も考慮します。
ステップ4:情報を集めて作成する(Webサイト制作)
いよいよサイトの制作に入ります。社員インタビューの文章を作成したり、職場の写真を撮影したりします。プロに頼むのが一番ですが、予算が限られている場合は、スマートフォンで撮影した動画や、社員が書いた温かみのある文章でも、想いは十分に伝わります。大切なのは、綺麗さよりも「リアルさ」です。
ステップ5:育てていく(公開・運用)
サイトは公開したら終わりではありません。むしろ、ここからがスタートです。
定期的にブログを更新して会社の「今」を伝えたり、新しい社員が入社したらインタビュー記事を追加したりと、情報を新しく保ちましょう。サイトを訪れた人の数や、どのページがよく見られているかを分析し、改善を繰り返していくことで、サイトはより強力な採用ツールへと育っていきます。
まとめ:まずは小さな一歩から。未来の仲間と出会うために
採用サイトは、もはや大企業だけのものではありません。知名度や条件面で不利になりがちな中小企業こそ、自社の「企業文化」という名の物語を熱く語ることで、未来の仲間を惹きつけることができます。
完璧なサイトを最初から目指す必要はありません。まずは、社長の想いを綴った1ページ、社員の笑顔が写った1枚の写真からでも大丈夫です。その小さな一歩が、会社の未来を大きく変える出会いに繋がるはずです。
もし、具体的なコンテンツの作り方や、さらに詳しい採用ブランディングの進め方について知りたい場合は、カズミアにお問い合わせ下さい。
あなたの会社にしかない素晴らしい物語を、世界に発信するお手伝いができれば幸いです。
【連載】成功する採用マーケティング
第1回:中小企業でもできる!採用ブランディングで応募を増やす実践的ノウハウ
第2回:採用サイトは「企業文化の語り部」中小企業こそ作るべき理由と作成ステップ









