内定承諾率を劇的に変える!採用パンフレットを「不安を解消する切り札」にする作成術

中小企業のための「成功する採用マーケティング」として複数回にわたり記事をお届けします。
3回めは、優秀な人材を確保し内定辞退を防ぐために採用パンフレットを「不安解消の切り札」として戦略的に活用することをお伝えします。
はじめに:求職者が抱える4つの不安を採用パンフレットで解決
内定承諾率の向上には、求職者が抱える4つの主要な不安「職場の雰囲気、仕事内容、適応性、待遇」を戦略的に解消する採用パンフレットが不可欠です。
企業理念、社員のリアルな声、1日のスケジュール、キャリアパス、福利厚生の具体例、客観的なデータを盛り込み、視覚的に分かりやすいデザインで構成することで、求職者の不安を払拭し、入社への期待感を高め、最終的な意思決定を後押しします。時代に合わせて保護者向けの情報も含めることで、さらに効果を高めていきましょう。
目次
1.なぜ、採用パンフレットが必要か?
採用活動は内定を出して終わりではありません。むしろそこからが本番です。複数内定を得た求職者にとって、内定承諾は重要な意思決定の局面となります。
この瞬間に、あなたの会社は求職者の心を掴めているでしょうか?
求人情報では伝えきれない企業の魅力や働く不安を解消する強力なツールが、採用パンフレットです。何度も見返され、家族とも共有されるパンフレットは、自社の印象を確固たるものにする「切り札」となります。この記事では、採用パンフレットの重要性と具体的な作成術を学んでいきましょう。
2025年の採用トレンドでは、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など候補者一人ひとりに直接語りかける多様な手法が注目されています。こうした候補者体験の向上に主眼を置いた戦略の成功には、内定後の不安を解消し、最終的な意思決定を後押しするコンテンツの重要性がますます高まっています。
※ダイレクトリクルーティングとは…採用担当者か求職者に直接アプローチする採用手法です。
※リファラル採用とは…自社の社員が友人や知人などの知り合いを紹介し、そこから採用につなげる手法です。

採用パンフレットの必要性
2.求職者が抱える「不安」の正体とは?
求職者が内定から入社までに抱く不安は多岐にわたります。これらの不安を理解し、先回りして解消することが内定承諾率向上の第一歩です。主な不安要素は以下の通りです。
職場の雰囲気や人間関係への不安
「職場に馴染めるだろうか」「上司や同僚と良い関係を築けるだろうか」—人間関係に関する不安は、求職者が最も強く感じる要素です。チームワークやコミュニケーションのスタイルは、求人情報だけでは想像しにくいもの。特にリモートワークが普及する中で、「画面越しの人間関係をどう築くか」を心配する声も増えています。
実際の仕事内容や忙しさへの不安
「求人情報の業務は本当に自分に合っているのか」「実際の仕事はどれくらい忙しいのか」「残業は本当に少ないのか」—具体的な仕事内容やワークライフバランスへの懸念も多く聞かれます。入社後のギャップを避けたいという思いから、求職者はよりリアルな情報を求めています。
自分に合うか、活躍できるかへの不安
「自分のスキルや経験がこの会社で活かせるのか」「企業の文化や働き方が自分に合っているのか」「長期的に働いて成長できるのか」—適応性や将来性に関する不安も大きな割合を占めます。特に未経験者や第二新卒の場合、自身の可能性に不安、疑問を持つケースも少なくありません。
福利厚生やキャリアパスへの不安
待遇や成長機会への不安も見過ごせません。福利厚生の実態、キャリアアップの機会、研修制度の充実度、給与体系の透明性、残業時間の実情—これらの具体的な情報を求める声が多数あります。
これらの不安は内定承諾の判断に直結します。採用パンフレットで戦略的に解消することが不可欠です。

求職者の不安
3.内定承諾率を劇的に変える!採用パンフレットに盛り込むべき不安解消コンテンツ
採用パンフレットを単なる会社案内で終わらせず、求職者の不安を解消し、入社への期待感を高める——そのために必要なコンテンツとは何でしょうか。ここでは、おすすめする効果的なコンテンツを具体的に解説します。
企業を深く理解してもらう情報
企業の「顔」となる情報は、求職者が信頼感と共感を抱くために不可欠です。
企業理念とビジョン: 企業がどのような価値観を大切にし、社会で何を実現しようとしているのかを明確に伝えます。「パーパス(存在意義)」や「プロミス(約束)」といった専門用語は避け、「私たちが目指す方向」や「お客様へのお約束」のように平易な言葉で表現しましょう。求職者が自身の価値観と照らし合わせて考えられるようにします。会社の成長の歩みや今後の展望をストーリーとして語ることで、企業への理解が深まります。
事業内容と強み: どのような事業を展開し、社会にどのような価値を提供しているのかを具体的に説明します。競合他社にはない独自の強みやこれまでの実績をわかりやすく示すことで、企業への安心感と成長性をアピールできます。
会社概要と沿革: 設立からの歴史や企業規模など、基本的な信頼情報を提供します。

働くイメージを具体化する情報
求職者の最大の不安の一つは「入社後のイメージ」が湧かないことです。この不安を払拭するリアルな情報を提供しましょう。
社員インタビュー・先輩社員の声: 若手からベテランまで、異なる部署や職種の社員のリアルな声を届けます。仕事のやりがい、日々の業務、成功体験、そして時には困難だったことやそれを乗り越えた経験も正直に語ってもらいましょう。採用ターゲットに近い社員の声は、入社後のイメージ形成に特に効果的です。
1日のスケジュール・仕事内容: 職種ごとに、具体的な1日の流れを紹介します。どのような業務を、誰と、どのような環境で行うのかをイメージしやすくすることで、仕事内容への不安を解消できます。
社風・職場の雰囲気: オフィスや現場の写真を豊富に掲載し、休憩スペース、社員が活き活きと働く様子を視覚的に伝えます。社内イベントの紹介や社員同士の交流風景、座談会形式のコンテンツを盛り込むことで、文字だけでは伝わりにくい職場の雰囲気を伝えられます。さらに、動画コンテンツは企業の「らしさ」を深く伝えるのに適しており、パンフレット内にQRコードを設置することで、採用サイトの動画コンテンツへシームレスに誘導する戦略が効果的です。
教育・研修制度・キャリアパス: 入社後の研修体制や、スキルアップのための具体的な支援、キャリアアップのモデルケース(例:「入社3年で主任、5年でリーダー」など)を明確に示します。「キャリアパス」とは、社内での昇進や職務変更を通じて、どのように成長していけるかの道筋を指します。

安心感を与える情報
最終的な意思決定を後押しするには、求職者の不安を和らげる具体的な情報が必要です。
福利厚生・待遇:給与水準、昇給制度、各種手当、休暇制度(有給休暇の取得率など)、健康保険や年金、独自の福利厚生を具体的に記載します。制度の概要だけでなく、実際に社員がどう活用しているかの事例を交えることで、その実用性が伝わります。
採用メッセージ:経営者や人事担当者からのメッセージは、企業の「人柄」や入社への「熱意」を伝える上で効果的です。内定者向けのパンフレットでは、内定を祝福し、入社を歓迎する言葉を載せることで、入社意欲をさらに高められます。
データで客観的に示す情報
数字は説得力があります。客観的なデータで企業の信頼性と透明性を高めましょう。
会社の現状をデータで公開:男女比、平均年齢、勤続年数、育児休業取得率、有給休暇取得率、平均残業時間など、具体的な数字を公開することで、会社の現状を透明化し、求職者からの信頼を得られます。グラフやインフォグラフィック(情報を図で分かりやすく表現したもの)を活用すると、視覚的に理解しやすくなります。
保護者にも安心を与える情報
内定辞退の理由として「保護者の反対」は少なくありません。そこで「保護者向けパンフレットコンテンツ」が効果的です。
保護者目線の不安解消:保護者が心配するのは、子どもの仕事内容よりも、会社の安定性、生活面、福利厚生の充実度です。これらの不安を解消できるコンテンツを盛り込み、企業が安心して働ける環境であることを伝えましょう。学生が家族に会社を説明する際の資料としても役立ちます。
これらのコンテンツをパンフレットに盛り込むことで、求職者の家族は企業への理解を深め、安心して預けられると感じ、内定承諾へと繋がります。

採用パンフレットの重要コンテンツ
4.心を掴む採用パンフレットのデザインと作成術
採用パンフレットでは、情報の内容だけでなく、デザインも極めて重要です。視覚的に魅力的で読みやすいデザインは、求職者の関心を引き、企業へのポジティブな印象を強く残します。
視覚的な分かりやすさと統一感
パンフレットの第一印象はデザインで決まります。情報を整理し、ストレスなく読めるレイアウトを心がけましょう。
情報を整理したレイアウト:ページごとの情報量やバランスに配慮し、見出しや箇条書きを効果的に使って、視覚的に分かりやすい構成にします。
色と書体の選択:企業のブランドイメージを反映した色の組み合わせ(カラースキーム)や書体(フォント)を選ぶことで、統一感のあるプロフェッショナルな印象を与え、企業への信頼感を高めます。
写真や動画、イラストの積極的な活用
文字だけでは伝わりにくい企業の魅力や雰囲気を、視覚的な要素で効果的に表現します。
リアルな写真で親近感を:社員の生き生きとした表情、実際の執務スペース、休憩スペース、社内イベントの様子などを写真で公開すると、親近感が生まれます。特に採用ターゲット層に近い社員の写真を多く使うことで、入社後のイメージをより具体的に描いてもらえます。
イラストやインフォグラフィックで分かりやすく:複雑なデータや制度の説明には、イラストやインフォグラフィック(情報を視覚的に表現したもの)を活用しましょう。例えば、有給取得率や平均年齢などをグラフや図で表現すると、直感的に理解しやすくなります。
動画コンテンツとの連携:パンフレット内にQRコードを設置し、採用サイトの動画コンテンツ(社員インタビュー動画やオフィス紹介動画など)へ誘導しましょう。より多くの情報を多角的に伝えることで、「企業文化を伝える」「職場の雰囲気を伝える」効果を高められます。

透明性とオープンさを意識した情報開示
企業の良い面だけでなく、課題や改善への取り組みも開示することで、求職者からの信頼を得られます。
リアルな情報を隠さない:完璧な企業は存在しません。良い面だけを強調するのではなく、企業の課題やそれに対する今後の取り組みを正直に伝えましょう。求職者は「入社後のギャップが少なそう」と感じます。
簡潔で読みやすい構成にする
限られた時間で読んでもらうために、シンプルで分かりやすい表現を心がけましょう。
メッセージは端的に:くどい言い回しを避け、伝えたいことを簡潔に表現します。専門用語は使わず、誰にでも分かる言葉で書きましょう。例えば「デザイン経営」という言葉は、「お客様目線でより良い商品やサービスを考え、会社全体でそれを形にしていく取り組み」のように言い換えると伝わりやすくなります。
漢字とひらがなのバランス:漢字を多用しすぎず、ひらがなとのバランスを意識することで、読みやすい文章になります。
ターゲットに合わせたコンテンツ設計
新卒採用と中途採用では、求職者が求める情報や不安の焦点が異なります。
新卒向け:「働きやすさ」や「やりがい」、成長機会、同期との交流、研修制度など、社会人生活のスタートに関する情報を重視します。
中途採用向け:具体的な「仕事内容」や「キャリアビジョン」、前職の経験の活かし方、評価制度、専門性向上の機会などを求める傾向があります。
ターゲットを明確にし、そのニーズに合わせたコンテンツとデザインを設計することで、効果的な採用パンフレットを作成できます。

心を掴む採用パンフレットの要素
5.採用パンフレットを最大限に活かす!デジタル連携
採用活動全体の「ハブ」として機能させることで、効果を最大限に引き出せます。特に、採用サイトやSNSとの連携は不可欠です。
5-1.採用サイトへの誘導
5-2.SNSでの情報発信
5-3.オウンドメディアリクルーティングの強化
まとめ:採用パンフレットで内定承諾率を高める
優秀な人材を確保し内定辞退を防ぐには、採用パンフレットを「不安解消の切り札」として戦略的に活用することが重要です。
本記事で解説したコンテンツ設計とデザインのポイントを参考に、貴社独自の魅力が詰まったパンフレットで内定承諾率の向上を実現してください。ポイントは以下になります。
- リアルで具体的な情報(社員の声、キャリアパス、客観的データ)を網羅する。
- 視覚的なデザインと一貫したメッセージでポジティブな印象を生み出す。
- 採用サイトやSNSとのデジタル連携で、求職者とのつながりを深める。
【連載】成功する採用マーケティング
第1回:中小企業でもできる!採用ブランディングで応募を増やす実践的ノウハウ
第2回:採用サイトは企業文化の語り部 中小企業こそ作るべき理由と作成ステップ
第3回:内定承諾率を劇的に変える!採用パンフレットを「不安を解消する切り札」にする作成術








