採用マーケティングとは?進め方・手法・失敗例まで完全解説

「求人を出しても、ちっとも応募が来ない……」
「応募があってもミスマッチが多い、せっかく内定を出しても辞退される」
「採用してもすぐに辞めてしまう」
そんなお悩みを抱えていませんか?
労働人口が減り、会社が選ばれる「売り手市場」の今、これまでの「求人を出して待つ」だけのやり方では、どうしても限界があります。そこで注目されているのが「採用マーケティング」です。
この記事では、「採用マーケティング」の意味から、今なぜ必要か、その進め方6ステップ、失敗しやすいポイント、成果を測るKPI設計などをわかりやすく解説します。
採用がうまく進まない原因と、自社が選ばれる仕組みの作り方をこの記事でお伝えします。
目次
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、普段の商売で行っている「マーケティング(売れる仕組み作り)」の考え方を、採用活動に応用することです。
会社に必要な人材(ターゲット)に対して、どんな情報を、どのタイミングで届ければ自社に興味を持ってもらえるかを設計し、それを届ける採用手法です。
従来の「求人を出して応募を待つ」やり方ではなく、採用全体を一つの流れとして設計するのが特徴です。
なぜ候補者を顧客のように考えるのか
今の採用市場は、候補者が会社を選ぶ側です。
複数の会社を比較検討している候補者は、「自分に合うかどうかの不安」から応募を見送るケースが多くあります。
これは、顧客が商品・サービスに対して抱く不安を解消するのと同じように、採用においては候補者の不安を丁寧に取り除く企業が選ばれる時代になったことを意味しています。
採用ブランディング・採用広報との違い

採用に関連する言葉として、採用広報、採用ブランディングがあります。採用マーケティングとの違いをここでは整理します。
採用広報
候補者に向かって、採用情報などの会社情報を発信する活動そのものを指します。
採用ブランディング
会社のイメージや価値観を伝える活動です。「採用マーケティング」の一部として、自社の魅力を求職者の記憶に残し、良い印象を与え、採用を有利に進めるための土台づくりです。
中小企業でもできる!採用ブランディングで応募を増やす実践的ノウハウ
採用マーケティング
上記をすべて含み、誰に何を伝え、どうやって応募から入社までつなげるか、次の採用へ向けたフィードバックという「情報発信、導線、施策、改善」までの全体設計を指します。
では、なぜ今このタイミングで「採用マーケティング」という考え方が企業にとって必要不可欠なものになってきているのでしょうか?その背景には、採用を取り巻く環境の大きな変化があります。
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採用マーケティングが必要とされる背景
採用を取り巻く環境は大きく変化しています。労働人口は年々減少し、企業間の採用競争は激化する一方です。求人媒体、SNS、スカウトなど手段は増えましたが、「何をどう使えばいいか」という悩みも増えています。
さらに、候補者の価値観も多様化しています。給与を重視する人、成長機会を求める人、働き方を優先する人——ニーズはさまざまです。「誰でもいいから来てほしい」という姿勢では、誰の心にも響きません。
だからこそ、「誰に」「何を」「どう届けるか」を設計する採用マーケティングが求められているのです。
労働人口の減少と売り手市場の進展
働く人の数が年々減り、企業間の採用競争は激化の一途をたどっています。給与や福利厚生を整えるだけでは、優秀な人材を集めることが難しくなっています。
この傾向は、特に中小企業にとって深刻です。リクルートワークス研究所の2025年の調査では、従業員300人未満の企業における求人倍率が約9倍に達しており、これは候補者1人を9社が取り合っている状況を示しています。
第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)
採用チャネルの増加
SNS、求人サイト、スカウトサービスなど、候補者が情報を受け取る窓口(チャネル)が急増しました。
SNSも多岐にわたるため、何を選択したら良いか?という悩みも増加し、また手段が増えた分、自社に合った方法を選ばないと、情報が誰にも届かずに埋もれてしまいます。
候補者の価値観の多様化
候補者の価値観は多様化しています。給与や待遇を重視する人もいれば、成長機会やキャリアアップを求める人、ワークライフバランスや柔軟な働き方を優先する人もいます。こうした多様なニーズに対し、「誰に向けた採用なのか」を明確にしないまま情報を発信しても、誰の心にも響きません。
ターゲットを絞り込み、その人たちが本当に知りたい情報を届けることが、採用成功のカギとなります。
厳しい環境だからこそ、「仕組み」で戦う必要があります。
次に、この取り組みを行うことで、具体的にどんな良いことがあるのかを見ていきましょう。
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採用マーケティングで得られるメリット
採用マーケティングを導入すると、ターゲットに合った応募が増え、ミスマッチや早期離職を防げます。選考時間が短縮され、採用コストの最適化も実現できます。
さらに、今すぐ転職を考えていない潜在層との関係を築くことで、中長期的な採用の安定化につながります。企業が求める人材を採用できれば、組織全体の生産性向上や事業成長の加速も期待できます。
ターゲットに合う応募が増える
採用マーケティングを導入することで、企業が求める理想の人材像に合致した候補者が「本当に知りたい」と考えている情報を、適切なタイミングと方法で発信できるようになります。
これにより、自社の文化や求める人物像とマッチしない求職者からの応募数が自然と減少し、書類選考や面接といった選考プロセス全体にかかる時間的・人的コストを削減することが可能になります。
ミスマッチ・早期離職の防止
仕事の楽しい部分だけでなく、実際の現場で直面する困難や課題といった「リアル」な側面も包み隠さず正直に伝えることによって、入社後に候補者が感じる期待と現実のギャップが少なくなります。
こうした透明性の高い情報提供を通じて、入社前に仕事の実態を十分に理解した上で入社を決断した人材が集まるようになるため、その結果として、入社後も長期にわたって企業で活躍し続けてくれる人が増加し、組織全体の定着率が着実に高まっていきます。
【早期離職対策】採用ミスマッチによるギャップを埋める!中小企業向けオンボーディング設計ガイド
採用コストの最適化
なんとなくで出していた求人広告費を抑え、効果の高い施策に集中することで、無駄な広告費を削減できます。
成果の出ていない施策を見極めて中止し、本当に効果のある取り組みに予算と時間を集中させることが可能になります。その結果、採用活動全体の費用対効果が向上し、限られたリソースを最大限に活用できるようになります。
潜在層との関係づくり
「今はまだ転職を考えていないけれど、いつか働いてみたい」と思っている人たち(潜在層)に対しても、SNSやオウンドメディアを活用した継続的な情報発信を通じて接点を持ち続けることで、中長期的に信頼関係を築けるようになります。
こうした関係性を丁寧に育てることで、将来的に転職を検討するタイミングが訪れた際に、真っ先に自社を思い浮かべてもらえる存在になることができます。
「採用マーケティング」のメリットを最大限に引き出し、その効果を十分に発揮させるためには、何よりもまず、採用活動における一連のプロセス全体を、バラバラの断片的な取り組みとしてではなく、候補者が認知から入社に至るまでの「一つの連続した流れ」として体系的に捉え、理解することが極めて重要になります。
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採用マーケティングの全体像
候補者が会社の存在を知り、興味を持ち、応募、選考を受け、内定を承諾して実際に入社するまでには、複数の段階(フェーズ)が存在しています。
採用ファネルとは
採用ファネルとは、求職者が企業を「認知」してから「興味・応募・選考」を経て「内定」「入社」に至るまでのプロセスを、漏斗(ファネル)状に可視化したフレームワークです。
| 認知 | 求職者が自社を知る(求人媒体、SNSなど) |
|---|---|
| 興味 | 求職者が自社に興味を持つ(採用サイト、会社説明会など) |
| 応募 | 求職者がエントリーする |
| 選考 | 面接や適性検査を受ける |
| 内定 | 内定の承諾を検討する |
| 入社 | 入社し、定着、活躍する |
フェーズごとの候補者心理
採用活動では、候補者が各段階で異なる心理状態を抱えています。
認知段階では、候補者は「どんな会社か分からない」という不安を抱えています。この段階では、会社の基本的な情報や魅力を明確に伝えることが重要です。
興味段階に進むと、「自分に合うか不安」という心理が働きます。求職者は、自分のスキルや価値観が会社とマッチするかどうかを慎重に見極めようとしています。
応募段階では、「失敗したくない」という慎重な心理が強くなります。応募という具体的なアクションを起こす前に、候補者は慎重に判断を下そうとします。
内定段階になると、候補者は「他社と比較している」状態にあります。複数の選択肢の中から最適な就職先を選ぼうと、条件や環境を比較検討しています。
これらの心理変化を理解し、各段階に応じた適切な情報提供やコミュニケーションを行うことが、採用成功の鍵となります。
ファネルごとに施策を変える理由
ずっと同じ情報を出し続けても、候補者の心には刺さりません。
なぜなら、候補者がどの段階にいるかによって、求めている情報の種類や深さが大きく異なるからです。
会社の存在を知らない人には「認知を広げる情報」を、
興味を持ち始めた人には「具体的な仕事内容や社風」を、
入社を迷っている人には「不安を解消する情報」を届けるといった、フェーズに合わせた使い分けが必要です。
各段階で適切な情報を提供することで、候補者は安心して次のステップに進むことができるようになります。
それでは、具体的にどのような手順で進めていけばよいのでしょうか。6つのステップに分けて解説します。
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採用マーケティングの進め方【6ステップ】
採用マーケティングを成功させるには、体系的なアプローチが欠かせません。ここでは、実践的な6つのステップをご紹介します。
まず自社の強みと課題を明確にし、求める人材像を具体的に設計します。
そして候補者の行動と心理を可視化し、適切な情報発信チャネルを選定します。
フェーズごとに最適なコンテンツを企画し、数値で効果を測定しながら継続的に改善していきます。
これらのステップを順に実行することで、「待ち」の採用から「選ばれる」採用へと転換できます。
STEP1:自社分析
最初に行うべきは、自社の現状を正しく分析することです。
具体的には、事業内容の整理、具体的な仕事内容の洗い出し、活躍している社員の特徴分析、そして自社の強みと弱みの整理を行います。これらを明確にすることで、求める人材像や発信すべきメッセージの土台が固まります。
STEP2:ターゲット・ペルソナ設計
次に、求める人材像を具体的に設計します。
「職種・経験年数」や「価値観・志向」といった要素を明確に定義することが重要です。たとえば、「Webデザイナー・実務経験3年以上」「成長意欲が高く、チャレンジを楽しめる人」といった具体的な条件を設定します。
ここで大切なのは、「誰でもOK」という姿勢をやめることです。ターゲットを絞ることで、本当に自社にマッチする人材からの応募が増え、採用後のミスマッチも減らすことができます。
「採用ペルソナ」ワークシート作成と採用ミスマッチを防ぐ活用法
STEP3:キャンディデイトジャーニー設計
キャンディデイトジャーニーとは、
候補者が「会社を知る」→「興味を持つ」→「応募する」→「内定を承諾する」→「入社・定着する」という一連の行動を時系列で整理したものです。
このジャーニーを設計することで、候補者が各段階でどんな不安や迷いを抱えているか、どこで離脱しているかが可視化できます。たとえば「応募までは来るが、選考途中で辞退が多い」という課題が明確になれば、その段階での情報提供やコミュニケーションを改善できます。
候補者の心理と行動を理解することで、適切なタイミングで適切な情報を届けられるようになり、採用の精度が向上します。
STEP4:チャネル設計
次に、候補者がどこで情報を得て、どのように行動するかを設計します。
認知段階では、SNSや記事を通じて会社の存在を知ってもらいます。候補者が日常的に触れるメディアで自社の情報を発信することが重要です。
興味段階では、採用サイトを通じて会社の魅力や働き方を具体的に伝えます。候補者が「もっと知りたい」と思ったときに訪れる場所として、充実した情報を提供します。
応募段階では、募集要項や応募フォームを整備し、候補者がスムーズに応募できる環境を用意します。わかりやすい条件提示と簡潔な応募プロセスが、応募のハードルを下げます。
このように、各段階で適切なチャネルを選定し、候補者の心理と行動に合わせた情報提供を行うことで、効果的な採用活動が実現できます。
STEP5:コンテンツ企画
各フェーズに応じたコンテンツを企画することで、候補者の興味と理解を段階的に深めることができます。
たとえば、1日のスケジュールを紹介することで、実際の働き方や業務の流れを具体的にイメージしてもらえます。数字で見る会社のようなデータを用いた情報提供は、客観的な視点から会社の実態を理解してもらうのに効果的です。
評価制度を明示することで、キャリアアップの道筋や成長の機会が見えやすくなり、候補者の不安を解消できます。また、向いている人・向いていない人を正直に伝えることで、ミスマッチを防ぎ、本当に自社に合う人材からの応募を促進できます。
さらに、社員インタビューを通じて、実際に働く人の生の声を届けることで、会社の雰囲気や文化をリアルに感じてもらうことができます。
これらのコンテンツを組み合わせることで、候補者が求める情報を適切なタイミングで提供し、応募から入社までの各段階で納得感を高めることができます。
STEP6:KPI設計と改善
最後に、採用活動の効果を測定し、継続的に改善するためのKPI、ここでは「採用のパフォーマンスを計測・監視するために置く指標」として設定します。
まず、各施策ごとに具体的な数字を決めることが重要です。
たとえば、「月間の応募数10件」「書類通過率50%」「内定承諾率80%」といった明確なKPIを設定することで、採用活動の進捗状況を客観的に把握できます。
次に、これらの数字を定期的に見直すことが必要です。
月次や四半期ごとに実績を確認し、目標との差異を分析します。たとえば、応募数は目標を達成しているが内定承諾率が低い場合、選考プロセスや条件提示に課題がある可能性があります。
そして、データに基づいて改善を繰り返すことで、採用活動の精度を高めていきます。
うまくいかなかった施策は見直し、効果があった施策は強化するというPDCAサイクルを回すことで、自社に最適な採用マーケティングの仕組みが構築されていきます。
それでは次に、採用マーケティングにおいてよく使われる施策を見ていきましょう。
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よく使われる採用マーケティング施策
採用マーケティングには様々な施策がありますが、それぞれに特徴と役割があります。ここでは、実際によく使われる代表的な施策を5つ紹介します。
自社の状況や目的に合わせて、適切な施策を組み合わせることが重要です。
採用サイト(採用ページ)
採用サイト(採用ページ)は、採用マーケティングの中心となる重要な施策です。
候補者が企業について詳しく知るための主要な情報源となるため、会社の魅力や働き方、社員の声など、充実した内容を提供することが求められます。
情報が薄いと、候補者の興味を引くことができず、応募につながりにくくなるため、成果が出にくくなります。
SNS運用
SNS運用は、日常的な発信を通じて企業の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうために有効な施策です。
日々の業務風景や社員の声、企業の取り組みなどを定期的に発信することで、候補者との接点を増やし、親近感を醸成することができます。
特に認知段階から興味段階への移行において、SNSは候補者が自然に企業情報に触れる機会を提供し、採用サイトへの誘導や応募のきっかけづくりに効果を発揮します。
スカウト・ダイレクトリクルーティング
スカウト・ダイレクトリクルーティングとは、企業が求人サイトやSNSを使って、自社が求める人材を自ら探し出し、直接メッセージを送る採用方法です。「待ち」ではなく「攻め」の手法と言えます。
この方法の良いところは、今すぐ転職を考えていない人にもアプローチできる点です。ただし、誰にどんなメッセージをいつ送るかをしっかり考えないと、返信がもらえず効果が出ません。ターゲットに合わせた丁寧なメッセージを作り、結果を見ながら改善していくことが大切です。
リファラル採用
リファラル採用は、既存社員からの紹介により人材を採用する手法です。社員が自社の文化や働き方を理解した上で紹介するため、候補者とのカルチャーフィットが高く、ミスマッチが起きにくいという特徴があります。
また、紹介された候補者は企業について事前に理解しているため、入社後の定着率も高い傾向にあります。ただし、リファラル採用を活性化させるには、社員が積極的に紹介したくなる仕組みづくりや、紹介しやすい環境を整えることが必要です。
イベント・ウェビナー
イベント・ウェビナーは、候補者に企業をより深く理解してもらうための効果的な施策です。
オンラインやオフラインの説明会・セミナーを通じて、事業内容や働き方、社員の雰囲気を直接伝えられます。双方向のコミュニケーションが可能なため、候補者の疑問にその場で答えられるだけでなく、企業側も候補者の関心や反応を把握できます。
また、イベント・ウェビナーは信頼関係を築くのにも適しています。対話を通じて、採用サイトやSNSだけでは伝わりにくい企業の人柄や雰囲気を感じてもらえるため、応募の後押しや入社後のミスマッチ防止にもつながります。
これらの採用マーケティング施策について、弊社カズミアが取り組んでいる内容をご紹介させていただきます。
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カズミアで実施している採用マーケティングの事例
ここでは、採用マーケティングの6ステップに沿って、私たちカズミアが実際にどのような施策を行っているかをご紹介します。
広告に頼らず自然応募で採用を継続できている事例として、同じように採用課題に取り組まれている中小企業の皆様にとって、少しでも参考になる部分があれば幸いです。ぜひご覧ください。
STEP1:自社分析
採用マーケティング強化にあたり、採用の基本方針を言語化し、以下のような資料にまとめました。

自社らしさの定義
「神奈川愛」「ワクワク」「ユーモア」など、自社ならではの価値観や要素を明確に定義しています。これらを発掘し言語化することが、採用ブランディングの第一歩です。
人材要件の定義
「自分ごととして当事者意識を持てる人」を重視した人材要件を設定しています。
これは単にスキルや経験だけでなく、企業の課題や目標を自分のこととして捉え、主体的に行動できる姿勢を持った人材を求めているということです。こうした明確な人材要件を定めることで、採用活動の軸がぶれず、カルチャーフィットした人材を見極めやすくなります。
事業の定義
Web制作に加え、メディアやイベントなど多様な事業を展開しているため、一つの職種に限定されず様々なチャレンジができる環境であることを認識し、そうした働き方を求める人材にアピールしています。
STEP2:ターゲット・ペルソナ設計
求める人材像を具体的に設計します。
カルチャーフィットを重視した採用基準
スキルや実務経験だけでなく、「神奈川という地域に愛着があるか」「日々の仕事に対してワクワクした気持ちを持って取り組めるか」といった、企業が大切にしている文化や価値観との相性を重視した採用活動を行っています。
若い世代のニーズを理解
安定した働き方だけを求めるのではなく、自身のキャリアアップや専門性の向上、新しいスキルの習得など、積極的に成長を望んでいる若い世代の意欲や期待に応えることができる職場環境であることを伝えています。
「いい人採用」の意識
Googleの採用基準なども参考にしながら、スキルだけでなく「人間性」や「価値観の一致」を重視した採用を行っています。
企業文化に合わない人材を採用してしまうと、本人にとっても組織にとってもマイナスになるリスクがあるため、慎重に見極めるよう心がけています。
候補者の個人的な情報への配慮
面接では、候補者の方との対話をスムーズに進めるため、事前にもらっているポートフォリオや事前の回答から趣味・関心事(好きなアーティストや推しなど)を把握しておき、それらを話題にして親しみやすい雰囲気づくりを心がけています。
職歴の確認
候補者の方がこれまで歩んできたキャリアの経緯にも目を向け、転職の回数やその背景なども丁寧に確認するようにしています。
なお、採用ペルソナの設計方法については、以下の記事でもより詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
中小企業こそやるべき!「採用ペルソナ」ワークシート作成と採用ミスマッチを防ぐ活用法
STEP3:キャンディデイトジャーニー設計
採用活動は、人材を採用することで完結するのではなく、入社後に長く活躍していただくところまでを見据えた、責任ある取り組みであると考えています。
そのため、採用時のミスマッチを防ぐことを重視し、面接では十分な時間をかけて、候補者の方との対話を大切にしています。
具体的には、以下のような視点を持って採用活動に取り組んでいます。
選考過程での多角的な評価
書類選考や面接の内容だけでなく、応募後のやり取りにおける連絡のタイミング、選考課題に取り組む際の姿勢や丁寧さなど、さまざまな側面から候補者を総合的に評価するよう心がけています。
面接時のコミュニケーション
候補者の方が緊張せずに本音で話せるよう、趣味や好きなお店といった、仕事以外の身近な話題も含めるように心がけています。
リラックスした雰囲気の中でのやり取りを通じて、その方が自社の文化に合うかどうかを丁寧に見極めています。
不採用者への丁寧な対応
不採用となった方に対しても、丁寧で誠実なコミュニケーションを大切にしています。
その結果、将来的に再度応募していただいたり、別の形でお仕事をご一緒したりするような、良好な関係性を築くことができます。
実際に、一度は不採用となった方が数年後改めて応募され採用に至ったケースや、タイミングを変えてこちらからお声がけし、採用につながった事例もあります。
長期的な関係構築の視点
候補者の方は、将来的に自社のお客様やビジネスパートナーになる可能性もあります。
そのため、採用の場面に限らず、一人ひとりとの出会いや関係性を大切にするよう心がけています。
STEP4:チャネル設計
採用サイトの重要性
自社の採用サイトから応募してくださる方は、当社の企業文化をよく理解し、入社への熱意も高く、最もマッチ度が高い傾向にあるため、最重要の採用チャネルとして位置づけています。
当社のタグラインやミッション、経営者の採用メッセージなどに共感頂き、応募に至るケースもあります。
「働く意義」の言語化。 採用活動で重要な経営者のメッセージ設計法
SNS・オウンドメディアの活用
InstagramやX(旧Twitter)、自社ブログといったSNSやオウンドメディアを活用し、社員の日常業務や職場の雰囲気、働く環境の様子などを、リアルな姿で継続的に発信しています。

インターンシップの活用
学生に就業体験の機会を提供し、企業文化への理解を深めてもらうことで、応募につなげています。
インターン参加者が自社の魅力を周囲に広めてくれることで、新たな応募者を呼び込む好循環も生まれています。
学校とのパイプづくりにもつながっており、中長期的な視点でも重要な取り組みと捉えています。
職場体験を通した若い世代への認知向上

中学生の職場体験を受け入れることは、地域の子どもたちに仕事や会社の魅力を知ってもらう機会になります。
若い世代に地元企業への関心を持ってもらうことで、将来的な就職先の選択肢として意識され、地域における採用活動の土台づくりにもつながっていきます。
中学生のデザイナー職場体験 – マスコットキャラクターを作ってみよう!
その他の求人チャネル
ハローワーク、Airwork(Indeed)、大学のキャリアセンターへの求人票送付など、複数のチャネルを組み合わせて活用することで、さまざまな層の候補者にリーチできるよう工夫しています。
STEP5:コンテンツ企画
ターゲットを意識した記事制作

「先輩社員の1日の様子」や「入社してから6ヶ月間のデザイナーの成長の記録」といった、ターゲット(ペルソナ)が共感しやすい具体的なテーマで記事を作成し、実際の働く姿をわかりやすく伝えています。
先輩社員の1日の様子
入社してから6ヶ月間のデザイナーの成長の記録
自社らしさの表現
すべてのコンテンツにおいて、「神奈川への愛着」「わくわくする気持ち」「ユーモアのある雰囲気」といった、当社ならではの個性や価値観が自然に伝わるような表現を大切にしています。
リアルさと信頼性の重視
良い面だけでなく、ありのままの姿や実際の様子をそのまま伝えることで、候補者の方からの信頼を得るようにしています。
社員を巻き込んだコンテンツ制作
採用活動を経営者や人事部門だけで進めるのではなく、他の社員もブログやSNSなどのコンテンツ制作に参加することで、社員一人ひとりの会社への理解や愛着が深まり、インナーブランディングの強化にもつながっています。
上からの指示で作るのではなく、社員同士が協力し合いながらコンテンツを作ることで、より自然で魅力的な情報発信を目指しています。
地域貢献活動のアピール
地元である神奈川への貢献を大切にしており、自社発信で取り組む地域メディアや行政からの依頼ごと中学生の職場体験の受け入れなど、地域に根ざした活動にも力を入れています。
こうした取り組みも、採用活動において自社の魅力を伝えるポイントとして積極的に発信しています。
STEP6:KPI設計と改善
採用のマッチ度評価
応募数や採用数といった「数」だけでなく、「どの経路から応募してくれた人が、自社にマッチしているか」という「質」の面からも効果を測定しています。
(例:自社の採用サイト経由で応募してくれた方は、マッチ度が高い傾向にあります)
定性的な成功指標の設定
「一度は不採用となった方が、後日改めて応募してくださり、最終的に採用に至った」といった事例を、候補者の当社への関心やエンゲージメントの高さを示す重要な成功指標として捉えています。
採用後のコミュニケーション改善
選考の際に使用した診断ツールの結果を、入社後の社員とのコミュニケーション方法やマネジメントの計画に活用することで、早期離職を防ぎ、社員の活躍をサポートする取り組みにつなげています。
課題による適性判断
選考の過程において、あえて難しい課題をお渡しし、それに対してどのように向き合い、乗り越えようとするかという姿勢や取り組み方をみることで、入社後に活躍していただける可能性を見極めています。
診断ツールの活用
SPIやその他の診断ツールを使って、候補者の特性を客観的なデータとして把握しています。これらのツールは、合否を判断する際の参考情報としてだけでなく、採用後にその方とどのようにコミュニケーションを取っていくかを計画する際にも活用しています。
ここまで、採用マーケティングの進め方を6つのステップに沿って見てきました。しかし、実際に取り組む中では、思うような成果が出なかったり、途中でつまずいてしまうケースも少なくありません。
次に、採用マーケティングでよくある失敗例と、それを避けるための具体的な対策について解説します。
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採用マーケティングのよくある失敗例と対策
ペルソナがあいまい
ペルソナが曖昧なままだと、メッセージの方向性が定まらず、結果として誰の心にも響かない発信になってしまいます。さらに、たとえ採用に至ったとしても、入社後に「思っていた仕事と違った」「社風が合わなかった」といったミスマッチが頻繁に発生する原因にもなります。
こうした事態を防ぐための対策としては、自社で実際に活躍している人材の特徴や行動パターンを丁寧に分析し、具体的で明確なペルソナ像を設定することが非常に重要です。
都合の良い話しか書かない
良い情報だけを発信してしまうと、入社後に「思っていたのと違う」というギャップが生まれ、早期離職の原因になってしまいます。
対策としては、仕事の大変な側面や課題も正直に伝えることが重要です。リアルな情報を提供することで、候補者は入社後のイメージを具体的に持つことができ、結果的にミスマッチを防ぐことにつながります。
導線がない
情報を発信しても、それを見た候補者が具体的な行動につながらないケースが多くあります。魅力的なコンテンツを作っても、「次に何をすればいいのか」が明確でなければ、興味を持った人を逃してしまいます。
対策としては、コンテンツの中に明確な導線を設けることが重要です。具体的には、「カジュアル面談に申し込む」「説明会に参加する」「エントリーする」といった次のアクションへのボタンやリンクをわかりやすく配置し、候補者が迷わず応募や面談まで進めるような設計を心がけましょう。
現場を巻き込めていない
採用において人事部門だけで情報発信を行うと、現場のリアルな声や具体的な業務内容が伝わりにくく、コンテンツの内容が表面的になってしまいます。その結果、候補者に対して仕事の魅力や実態を十分に伝えることができず、応募意欲の低下やミスマッチにつながる可能性があります。
対策としては、実際に現場で働く社員へのインタビューを積極的に行い、その声をコンテンツに反映させることが重要です。
現場の社員が語るリアルな体験談や具体的なエピソードは、候補者にとって非常に価値のある情報となり、企業の魅力をより深く伝えることができます。
KPIがない
KPIを設定せずに施策を進めてしまうと、何が効果的で何が課題なのかが見えず、改善のサイクルを回すことができません。結果として、同じ失敗を繰り返したり、予算や時間を無駄にしてしまう可能性があります。
対策としては、各フェーズごとに具体的な数値目標を設定し、定期的に効果を測定・分析することが重要です。たとえば「採用ページのPV数」「応募率」「内定承諾率」など、明確な指標を決めて追うことで、どこに課題があるのかが可視化され、次の打ち手を考えやすくなります。
失敗を避けるためには、効果を正しく測るための「ものさし」が必要です。次に「ものさし」となるKPI設計例について触れます。
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成果を測るKPI設計例
では、具体的にどんなKPIを設定すれば良いかを見ていきましょう。
大切なのは、候補者が今どの選考段階(フェーズ)にいて、どんな気持ちでいるかを理解し、それに合わせてKPIを決めることです。
そして、このKPIを追うことで、選考のどのステップで問題が起きているかを確認し、「採用がうまくいかない原因」を見つけ、具体的な改善策を実行することが重要です。
認知フェーズ:存在を知られているか?
良い求人情報を作成しても、人に見てもらえなければ、その存在を知ってもらえません。ここでは、市場において自社がどれだけ見られているか(露出度)と、どれだけ関心を持たれているか(関心度)を測定します。
| 採用ページPV(閲覧数) | 自社の採用情報がどれだけ見られているか。SNSや広告などの「入り口」が機能しているかを測る基本指標です。 |
|---|---|
| 指名検索数 | 「(社名)採用」など、意図的に自社を探して検索した人の数。これが増えているのは、自社のブランド認知が確実に高まっている証拠です。 |
興味フェーズ:会社の「ファン」になり始めているか?
ページを見た人が、その内容に「いいね」と感じ、興味や関心を強く持ったかどうかを確認します。
| 滞在時間 | 記事をじっくり読んでいるかどうかの目安です。滞在時間が長いほど、その記事が読者に響き、共感を得られていると言えます。 |
|---|---|
| 回遊率 | 1つの記事だけでなく、他の社員インタビューなども見ているかどうかの割合です。会社全体に興味が広がっているかを確認できます。 |
| 面談・説明会予約数 | 「いきなり応募するのは難しいけれど、話だけは聞いてみたい」という、応募前の層の行動です。ここが増えれば、将来の応募者の質が良くなります。 |
応募/面談〜入社フェーズ:最後の一歩を「決断」できているか?
応募/面談〜入社フェーズでは、候補者が実際に行動を起こしてから入社・定着するまでの各段階での成果を測ることが重要です。
| 応募率(CVR) | サイトに来た人のうち、何人が応募してくれたか。ターゲットとその求めている情報が合っているかを測る大切な指標です。 |
|---|---|
| 辞退率 | 選考の途中で応募者がやめてしまっていないか。面接での印象や、やり取りに問題がないかを確かめます。 |
| 内定承諾率 | 最終的に自社を選んでくれた人の割合。入社したいという気持ちを最後まで保ち、承諾に至ったかを確かめます。 |
| 早期離職率 | 入社後に「思っていたのと違った」というミスマッチがなかったか。採用活動のゴールは、入社後に活躍してもらうことですので、重要な指標になります。 |
改善のヒント:数字が語る「課題の正体」
KPIを設定することで、今後に向けて、「次に何を改善すべきか?」が見えてきます。例えば、
| 閲覧数(PV)は多いが応募が少ない場合 | 「認知」は取れているが、ページの魅力(応募者の共感)が足りない、または応募フォームが使いにくいなどの可能性があります。 |
|---|---|
| 応募は多いが内定承諾率が低い場合 | 「興味」は持たれているが、選考中の説明や条件提示にギャップがあるのかもしれません。 |
最後に、採用マーケティングを長く続けていくための大切な考え方をお伝えします。
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採用マーケティングを成功させる考え方
採用は、明日やって明後日に成果が出るものではありません。根気強く取り組むコツがあります。
すべてを内製しようとしない
採用マーケティングは、人事部門だけですべてを進めようとすると、リソースや専門知識の面で限界が生じやすく、継続的な運用が難しくなります。
特にコンテンツ制作やデータ分析など、専門性が求められる領域では、無理に内製化しようとするとかえって時間がかかり、質も下がってしまう可能性があります。
そのため、自社で対応できる部分は内製しつつ、専門性が必要な部分や工数がかかる業務については、外部の採用支援会社やマーケティングの専門家に依頼することも有効な選択肢です。
外部リソースを適切に活用することで、効率よく成果を出すことができます。
設計と運用は別物
採用マーケティングは、コンテンツや仕組みを一度作って終わりではありません。作るだけでは成果は出ず、むしろその後の運用と改善こそが重要になります。
候補者の反応を見ながら情報を更新したり、数値をもとに施策を見直したりと、継続的にPDCAを回していくことで、初めて採用マーケティングは効果を発揮します。
設計と運用は別物であることを理解し、長期的な視点で取り組むことが成功の鍵です。
採用は短期施策ではない
採用マーケティングは、すぐに結果が出るものではありません。認知を広げ、興味を持ってもらい、応募から入社・定着までつなげるには、ある程度の時間が必要です。
短期的な成果を求めすぎず、中長期的な視点で仕組みを育てていくことが大切です。地道に情報発信を続け、データをもとに改善を重ねることで、徐々に「選ばれる会社」へと変わっていきます。
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